3. 日本の地質の特徴

 では、続いて日本の地質の特徴と成り立ちについて解説します。

日本全土の地質図は、インターネットで確認することができます。

https://gbank.gsj.jp/geonavi/geonavi.php

(産業技術総合研究所地質調査総合センター (編) (2015) 20万分の1日本シームレス地質図 2015年5月29日版.産業技術総合研究所地質調査総合センター.)

地質図とは、地盤を構成している岩石(土壌ではない)をその岩石の種類や出来た時代によって色分けしたもので、一般的に色が濃いほど古い時代にできた岩石であることを表しています。フランスの地質研究者が執筆した「テロワール 大地の歴史に刻まれたフランスワイン」という書籍にはフランスの地質図が掲載されていますが、このフランスの地質図に比べると日本の地質はバラエティに富んでおり、様相が全く異なっていることが分かります。日本とフランスでの上記のような地質の違いは、その成り立ちが全くことなることために生じたものです。

地球の表面を覆う岩盤は、プレートという複数の岩板でできているということは聞いたことがあるかと思いますが、このプレートは常に移動しており、速いところでは10cm/年以上移動しているところもあります。これは爪の伸びる速さの3倍以上ということになります。この移動の方向はプレートによって異なり、一部のプレート境界では大きな力がかかっています。日本列島は4つのプレートの境界にあるためさまざまな力がかかっており、いまでも変形を続けています。

プレート境界付近での力による変形が地学現象として表れているのが地震や火山活動です。地震は圧力を加えられた岩盤が破壊するときに生ずる衝撃が地面の揺れとして伝わったものですが、プレート境界に沿って頻繁に地震が発生します。

海洋プレートは大陸プレートより重いため、プレート境界では海洋プレートは大陸プレートの下にもぐりこんでいきます。火山活動は、沈み込んだ海洋プレートが多量な水を地下深所に運び込むことで、岩石が溶けやすくなり、それで発生したマグマによって起こります。溶けて軽くなったマグマが上昇して、地表付近まで達して地下水と反応したり地表に噴き出した現象が噴火です。

このプレート境界を断面で見た図が図5です。この図のように、プレート境界では様々なタイプの岩石が形成されます。

このようなプレート運動によって、長い地球の歴史の中で大陸は何度も離合集散を繰り返し、現在のようなプレート分布になっているというわけです。

現在の日本列島を作っている地質は、付加体と呼ばれる境界付近の海底や遠く離れた海底にたまった堆積岩(のちに変成岩に変化する場合もある)やマグマからなる火成岩(深成岩や火山岩)が主体となっており、過去からのプレート運動によって生み出された約5億年前からの痕跡が残っているのです。